大阪は、色の街だと思います。
人が多くて、活気があって、いろんな音がする。
繁華街ならではのけばけばしい色味もあれば、大阪らしいカラフルなスポットもあちこちにある。そういう賑やかな大阪を知っているからこそ、ふと逆のことをしてみたくなる。
いつもの大阪から、色も音も取ってみたら、どうなるんだろう。
結論から言うと、私がまた見たことのなかった大阪を見れたように感じます。
フィルムシミュレーション:ACROS

カメラを持って散歩するときは、何かしらテーマを持って歩くことが多いですね。
今回でいえば「この一角、色を消したらどうなるんだろう」という好奇心。
小洒落た理屈があったわけではありません。今回は、ただ目に留まったものを片っ端から白と黒にしてみたくなっただけ。
色がなくなり、線と面になる。ガラス屋根の鉄骨も、色がないぶん、その形そのものが際立ってきます。

白と黒の境界線。
コンクリートの巨大な構造物が頭上を覆い、その向こうに街が広がっています。
色があれば、ただの「高速道路の下」でしかなかったはずなんですが、ちょっとだけいつもと違う風景に見えませんか?

何が起きているわけでもない、ただ人が佇んでいるだけの、なんでもない細い路地は「これはモノクロにしたら絶対に雰囲気抜群の一枚になる…!」と思って撮影した1枚。
しんとした空気、奥に沈む人影。色をなくすだけで、なんでもない風景がまるで映画のワンシーンのように一変する時があるんです。
私は「日常を作品に、移動を冒険に」をコンセプトに写真活動をしているので、これはまさに私が目指した1枚かなと感じています。



夜には提灯が灯って賑わう飲み屋街も、レンガ造りの古い建物も、色を消すとまた違う顔を見せてくれます。
提灯は丸いフォルムと文字だけが模様のように残り、古いレンガの建物は、ここが大阪だということを忘れさせて、どこか遠い街の角のように見えました。

人通りも交通量も多い梅田。
その真ん中で、スローシャッターで撮影してみました。
あれほど揺れて、あれほどうるさかった場所から、人も車も流れて溶けて、あとには時間だけが静かに写っている。
それでいて、光の筋になった車の流れには、あの場の臨場感がちゃんと残っていました。ただ静かなんじゃなくて、賑やかさの余韻をまとった静けさ。
そのギャップに、美しさを感じましたね。


同じことを、賑わいの中心でも。
大きな屋根の下を、たくさんの人が行き交うコンコース。ここでも少しだけシャッターを長く開けてみると、人の姿はやわらかく流れて消え、あとには天井の骨組みと、静かな光だけが残りました。
賑やかさのど真ん中に立っていても、色を消せば、街はやっぱり骨格だけになる。心地よい撮影体験でしたね。

最後に、足元に落ちた影を。
色鮮やかな街から、色だけを消して歩いた一日でした。
今回あらためて思ったのは、撮影体験というのは、要素がひとつ掛け合わさるだけで、まったく新しいものになるということです。
レンズを変えても、カメラを変えても、それぞれに面白さがある。でもそのなかでも、色を消すというのは、思っていた以上に刺激的でした。
いつもの街から、色だけ消してみる。








