なぜ、FUJIFILM X100VIを購入したのか。
「富士フイルムの色味を試してみたかった?」
「フィルムシミュレーションを使いたかった?」
「そのデザイン性で所有欲を満たしたかった?」
多分、すべて当てはまると思います。
手持ちのカメラに、不満があったわけではありません。だからと言って、サブ機が欲しかったわけでもありません。
ただ、このサイズ感で、どれくらいの撮影体験ができるのか非常に興味があったんです。
カメラを持っている方なら、1度は「今日は重いから持っていくのやめよう」と思ってしまうことがあると思います。そして、そのままカメラから離れてしまったという人も少なくないはず。
カメラは持ち運べる頻度が多くなるほど、どんどん楽しくなるものだと感じています。だからこそ、このカメラに強く惹かれたのかもしれません。
小さいのに、満足できてしまう

X100VIといえば、冒頭にも書いた通り「コンパクトなサイズ」「富士フイルムというメーカーへの色の期待」、そして「クラシカルなデザイン」が人気のポイントでしょう。
どれも確かに惹かれる部分で、私も最後に背中を押してくれたのは、このデザイン性でした。
でも、実際に使ってみて何より嬉しかったのは、この小ささで、撮影体験そのものにちゃんと満足できてしまうこと。
小さいカメラは、「サブ機」や「間に合わせ」になりがちです。持ち運びやすさを取る代わりに、撮る喜びは少し我慢する——そういうものだと思っていました。
でも、この1台はそうではありませんでした。小さいのに、撮っていて楽しい。
これこそ、このカメラの本領発揮といったところでしょうか。
レンズが交換できないし、ズームもできない。
逆にいえば、そこをいじる必要がないため「ここを撮りたい!」と思ったら、迷うことなく撮影ができるという撮影体験が、日頃のカメラライフを良いものにしていると感じています。
NDフィルターで広がる撮影体験

その”満足できてしまう”を支えている理由の1つが、内蔵のNDフィルター。
このカメラには、4段分のNDフィルターがレンズに組み込まれています。もともと、あまり気にしていなかった機能だったのですが、今では大きなメリットとなっています。
NDフィルターとは、サングラスのような役割をするフィルターのことで、これにより日中でもシャッター速度を落として撮影することができます。
一般的にはNDフィルターを別途持ち歩く必要があり、着脱を余儀なくされます。私のように、カメラを持ってふらりと散歩したい人間にとって、これは手間でしかありません。
でもこのカメラは、その切り替えを指先ひとつでその場でできてしまう。持ち運べる小ささのなかに、撮影の引き出しがちゃんと収まっていました。
他にもフラッシュが内蔵されていたりと、撮影の幅が広がる機能が詰まっています。
だから「小さいのに、満足できてしまう」のでした。
買って、どうなったか
持ち出す回数が、明確に増えました。
構えずに連れていける。だから、なんでもない道でも、ふとした光でも、シャッターを切るようになる。
そして、内蔵NDのおかげで、その日常のなかで少しだけ実験もできるようになりました。

これは静岡県浜松市の弁天島海浜公園で撮った1枚です。
波が溶けて、時間そのものがゆっくり流れているような画になります。特別な機材を持ち出したわけではありません。いつもの1台のまま、その場でNDフィルター機能を使っただけです。

こちらは渋谷ヒカリエの横にある銀座線の地上改札口。
「銀座線」という大きな文字の下を、たくさんの人が行き来しています。
看板だけがくっきり残り、人の流れは淡くほどけていく。日常的にスローシャッターで撮影できるシーンが増えたので、楽しさがまた増えたと思います。
静かな水辺と、動きのある街。方向はまるで違うのに、どちらも小さなこの1台のまま撮れてしまう。
「小さいのに満足できてしまう」と書いたのは、こういうことでした。
もちろん、ここに富士フイルムの魅力の1つであるフィルムシミュレーションを掛け合わせるのも楽しそうですよね。
こうしたスローシャッターの面白さそのものは、また別の機会に書いてみたいと思っています。
日常が、少しだけ違って見えた

いままでの機材が悪かったわけでも、これで置き換わったわけでもありません。
ただ、今いちばん多くシャッターを切っているのは、たぶんこの1台です。
構えずに持ち出せて、小さいのに撮っていて楽しい。そのおかげで、見慣れたはずの通勤路も、いつもの街角も、少しだけ違って見えるようになりました。
カメラを増やしたというより、日常を見る目を、もう1つ増やしたという感覚のほうが近いのかもしれません。







